山に3日も入っていれば雨に降られないことのほうが珍しいですよね。
会社勤めだと山に行ける日は限られてしまうわけで、雨の日を避けていたら何日もかけて縦走するなんてできなくなってしまいます。
だったら、安全で少しでも快適に雨の日の登山ができるスキルを身に付ければいいのです。
テント泊を始めたころ、天気予報をみて雨がひどくなりそうなら計画を中止していました。
ある時、天気の急変で大雨となって辛いテント泊を経験したことをきっかけに、「どうせ降られるなら快適に過ごすスキルを身に付けよう」と思うようになって、よほどひどくなりそうになければテント泊に行くようになりました。
そうした経験の中で得た雨対策として実践していることを紹介します。
道具や装備の雨対策
テント泊において絶対に濡らしたくない装備や、濡らしてしまった場合の対処方法を書いていきます。
ザックカバーだけでは不十分
登山中に雨が降り出せば、レインウェアを着て、ほとんどの人は荷物が濡れないためにザックカーバーを被せます。
でも、テントを張り終えてザックから荷物を出したら濡れていたという経験はありませんか?
ザックカバーだけでは荷物の濡れ対策は不十分なんです。
なぜなら、ザックカバーは背面(背中側)はカバーされていませんし、ザックとザックカバーの隙間から雨は進入してきます。これが荷物を濡らしてしまう原因のひとつなんです。

荷物を濡らさないためには、ザックの中で濡れ対策をすることが必要なのです。
テント泊では軽量コンパクト化のためにダウンシュラフやダウンジャケットを使うし、着替えを持つ人も多いです。これらは絶対濡らしたくない装備です。
なぜなら、ダウンシュラフやダウンジャケットが濡れてしまうと保温力が低下して寒い夜を過ごさなければならないし、着替えが濡れたらそもそもの役目を果たしません。
絶対に濡らしたくない装備は防水バッグに入れ、ザックの中で濡れ対策をします。私の場合、テント内を濡らしたくないのでシュラフマットやファーストエイドキットも防水バッグに入れてしまいます。
ダウンシュラフやダウンジャケットはシートゥーサミット eVentコンプレッションドライサックに入れていきます。防水のコンプレッションバッグなのですが、中の空気を抜きながら圧縮できるのでコンパクトになりつつ濡れ対策ができる優れものです。
サイズもいくつか用意されているので、自分の装備にあったサイズを選べます。夏のダウンシュラフはイスカのエア280Xを使っていますが、Sサイズで入りました。でも、春、秋用のシュラフと兼用するので、Mサイズを使っています。

濡れを移さない
テントを撤収するとき、雨の状況にかかわらずザックの中にそのままテントやフライシートは入れません。
雨や夜露で濡れているので、他の装備を濡らさないためです。
ここでも防水バッグや大きめのビニール袋を使います。きっちりとしまい込むのは手間がかかるので、付属のスタッフバッグは使いません。
テントやフライシートは、それぞれ適当に畳み、少し大きめの防水バッグやビニール袋に別々に入れます。あとはザックに詰め込むだけ、大きめのバッグならザックの中で形が変わって隙間ができにくくなります。

2泊以上するならフライシートとテントは別々にします。

体を濡らさない
夏でも濡れは大敵です。標高が高ければ外気温は10℃前後になることもあり、風が吹けば体感温度はさらに低くなります。
体温が下がれば夏でも低体温症になり、行動不能に陥る危険性があります。
保温のためにはミッドレイヤー(インサレーションウェア)は持っておくべきだし、濡れ戻りしないドライレイヤーも合わせて使いたいものです。
私の場合、ミッドレイヤーは濡れに強い化繊のものを使っています。撥水加工されたダウンでもいいでしょう。ドライレイヤーはファイントラックを愛用しています。
出典:ファイントラック
着替えがあれば、面倒だと思っても体を冷やしてしまう前に着替えてしまいましょう。
雨の日は、手間を惜しまず体温を意識して行動すべきです。
テント内を濡らさない
テント内に荷物を入れるときはなるべく水分を取り除きます。
せっかく濡れないように気を付けたシュラフなどを濡らしてしまないようにするためです。
ザックカバーやレインウエアは速乾性のタオルで水分をふき取ってからビニール袋に入れてテントの中へ。ザックも濡れがひどければビニール袋に入れます。
こんな時、広い前室あるテントは作業がしやすくていいですね。
もし、テント内を濡らしてしまったり、結露が発生したら、速乾性のタオルでふき取り、テント内を少しでも乾いた状態にしています。
私の場合は、車のふき取り用タオルを利用。

送料無料【楽天1位】セームタオル 青1枚 43x32cm 中サイズ 汗 水滴 速乾 吸収 背中 耐久性 繰り返し 使える スイムタオル 水泳 スイミング プール ジム 食器 アウトドア お風呂 スポーツ 洗車 セーム タオル
濡れたものを乾かす
ウエアなどが濡れていたらテント内で乾かします。濡れたものを身に付けるのは気持ちのいいものではありませんから。
テント内に細引きを張り、前室で絞ってから干します。寒さを感じなければ着て乾かすという方法もあり(私はよくやります)。

もし登山靴が濡れていたら、新聞紙を入れて一晩おきます。完全ではありませんが、思っている以上に乾きます。私は長靴を乾かすときこの方法を使いますが、結構乾きますよ。
濡れたものを身に付けるのはとても不快に感じるし、不快な部分が気になって注意力が散漫になるのを防ぐため、少しでも快適にな状態にして登山したいものです。
計画や行動の対策
晴れている日はなんでもない登山道が、雨の日は状況が一変、まわりは真っ白で視界が不明瞭、岩や木の根は滑りやすく、泥沼のようになった登山道はとても歩きにくくなります。
そんな状況下では、いつも以上に疲労がたまり、集中力も途切れがち、トラブルが起こりやすくなります。
天気予報を確認
登山に行く前はこまめに天気予報を確認すると思いますが、登山中も天気予報は注視すべきです。

もし大雨の予報が出ていれば、行動する前に予定を見直して無理をしなくて済みます。
前日でも、当日の朝でもよいのですが、山小屋で天気予報を確認したり、インターネットがつながれば、いつも使っている天気予報で確認します。
行動に迷ったら、山小屋で状況を聞いてみるのもひとつの方法ですが、最終的に行動を決めるのは自分。そのためにも、あらかじめ(登山に入る前)雨の状況に応じた行動を決めておきます。
例えば、「大雨で回復の見込みがない → 停滞もしくは引き返し下山する」「これから回復する予報 → 予定通り行動」「ルート上に危険な場所がる → 別ルートに変更」など。
あらかじめ決めておけば、冷静な判断ができてリスクを抑えられます。注意すべきは周りの人が行くからといって、それに流された判断をしないようにすることです(雨への対応力は人それぞれ)。
エスケープルートや予備日を設定する
雨の日に限ったことではありませんが、できるだけエスケープルートを準備しておきます。
思いもよらないアクシデントや悪天候で予定通りのコースを通れないときもあります。

また、予備日を設けることも対策のひとつです。
「明日仕事だから今日中に下山しないといけない!」といって、大雨でも無理をして行動したことに見覚えのある人もいると思います。
大雨なら停滞する、危険は避け安全なコースを通る、あきらめて撤退するなど、選択肢を多く持つことも雨の対策です。
もし予備日が余ったならば、体を休めるいい機会と思うのはどうでしょう?
危険な場所はあらかじめ確認しておく
エスケープルートにもつながることなのですが、増水する沢や崖崩れが起こりそうな場所はあらかじめ確認しておきます。
インターネットで情報を得るとか、山小屋で通ることができそうか確認します。通れそうにないならエスケープルートにするか、エスケープルートが無いなら引き返すなどの判断をします。

道迷いに注意 地図とコンパスは必須
これも雨の日に限ったことではありませんが、地図とコンパスは必ず持ちましょう。もちろん、持っているだけでなく使えるようにしておきます。

雨の日は視界が悪く、霧が発生すると周りが見えなくなることもあります。うっとおしい雨のせいで注意力が散漫になり目印を見落としたりしてしまうことも。
テント泊を始めたころの雨の日で、北岳山荘からの帰り道に霧に巻かれてたことがありました。そこは岩場で目印は岩にマーキングされているのですが、周りは真っ白になり2~3メートル先も見えない。
やみくもに動いても危険が増すだけだと思い、20~30分ぐらい不安を抱きつつ霧が無くなるのを待った記憶があります。霧が晴れたからよかったものの、晴れなかったら地図を頼りに下山するしかありませんでした。
何かおかしいと思ったら、面倒がらずに立ち止まって地図を確認しましょう。現在地の確認も晴天時より多めにしたほうがいいですね。
地図はマップケースに入れておくと濡らさずに済みます。
まとめ
天候が悪い日の登山は、できれば避けたいものですが、3日以上の行程となると避けられないことのほうが多いです。ましてや大雨ともなるとテントの設営や撤収はつらいです。
でも、雨の日を経験することで登山のスキルが上がるのも事実です。
雨の日にしか見られない景色もあるので、無理のない程度で積極的に登山に向かうのもいいのではないでしょうか。経験を積むことで、自分なりの雨の日の登山の楽しみ方ができるようになってきます。
この記事ではテント泊登山の雨対策として私が実践していることを紹介しました。皆さんの参考になれば幸いです。
コメント