日本人の足に最適! シリオの登山靴

PF431 山道具

 世の中にはたくさんの登山靴メーカーがあって、登山のスタイルによってもさまざまな登山靴の種類があります。登山靴をいざ購入しようとすると、そのたくさんの数の中から選ばなければなりません。また、本格的な登山靴となると数万円もするので、絶対に失敗はできません。登山用品店の壁一面にずらりと並べられている登山靴を見ると、何を選んでいいのか迷うばかりです。

 私は無雪期の縦走用にはシリオの登山靴をずっと使っています。きっかけは登山用品店の店員に勧められたからですが、1足目はソールを3回張り替えるほど気に入った靴でした。

 一般人の私は、いろいろなメーカーの靴を履き比べることができないので、たくさんの登山靴と比較はできません。主観的な意見も含みつつ、シリオの登山靴の良いところ、気になるところを紹介したいと思います。

登山靴の分類

 一般的に登山靴は用途やソールの硬さ、登山靴の形状で、大きく分けて4つに分類されます。各タイプの呼び名もメーカーなどによってさまざまです。簡単に分類と用途をまとめてみました。

シリオモンベル一般 ※1
マウンティニアリングアルパインライトアルパイン
トレッキングトレッキングバックパック
ライトトレッキングミッドカットブーツ
ウォーキングハイキングローカットシューズ

※1 PEAKS 2019 5月号より引用

マウンテリアニングブーツ

①主な用途:登攀、不整地
ソールの剛性が高く、岩場や雪渓の対応力が高く作られています。傾斜の強い場所でも軽快に歩行できるように、アッパー(足の甲側)は比較的軽めに設計されています。
アイゼンに対応していて、ソールはほとんど曲がらないため、歩行性は低いので低山の山歩きには向きません。

トレッキングブーツ

②主な用途:不整地、登山道
アッパーもソールも剛性が高く、重たい荷物を背負った時でも安定して歩行できるように設計されています。
足首の固定力が4タイプの中で一番強く、がっちりサポートしてくれます。意外と低山でも使いやすくて、使用範囲は広いです。

ライトアルパインブーツ

③主な用途:登山道
適度なホールド感と軽快感があるので、荷物の少ない日帰り登山に向いています。足に自信があればアルプス縦走にも使えます。
メーカーによって、ローカットシューズのように軽快なものから、バックパッキングブーツ並みに丈夫なものまでありますので、購入時には注意が必要です。

ウォーキングシューズ

④主な用途:ハイキング、トレールランニング、アプローチシューズなど
足首を覆わず、軽快さを重視したものが多いです。モデルによって用途が異なり、種類も多くあります。防水性を備えていないものもありますので、購入時は注意が必要です。

※大きく分けて4つに分類されますが、分類の中間的な位置にあるなど登山靴も多様化しているようです。
 購入の際は専門店に相談することをお勧めします。

※登山靴の写真はシリオのカタログより引用

シリオを選ぶ理由

 日本人はわらじや草履といった欧米とは違う独特の履物文化によって、幅広、甲高の偏平足が多いです。そのため、欧米のメーカーの靴だとつま先に向かって窮屈さ感じたり、甲高なため靴ひもを締めてもアッパーが開いてしまい、とても不格好になってしまいます。

 私の足も幅広甲高で、典型的な日本人の足型です。普段履くスニーカーも海外メーカーのナイキやアディダスなどは2サイズ上の靴を、つま先に大きな空間を作って無理やり履いていました。
(今では日本人向けの足型で作られた靴もあるようです)

 登山靴も同じで、おしゃれでかっこいい欧米メーカーの靴で合うものをなかなか見つけられませんでした。そんな中で出会ったのがシリオでした。

ワイズのバリエーションが豊富

 シリオのホームページによると、足の長さと幅の比は欧米では10対3.5の人が多いのに対して、日本では10対4が半数以上を占めているとのことです。これに対応して、シリオでは3つのワイズが用意されていますので、自分に合った足型の登山靴を選ぶことができます。

ワイズと比較
シリオのホームページより引用

 
 私の場合は10対4でしたので“3E+”がちょうどよいサイズでした(シリオを扱っている登山用品店で測定してもらえます)。もし、もっとタイトに履きたいと思えば“3E”を、“3E+”でも長く履いていると足が痛くなるという人は“4E+”を選ぶこともできます。
※モデルによって選択できないワイズがあります

イタリアの高い製造技術で作られている

 専門メーカーであるため、無駄のないラインナップで目的の登山靴を選ぶことができます。
 そして、登山靴作りといえばイタリア。そのイタリアで、日本人に合った10対4の足型(ラスト)を基準に設計して、イタリアの高い製造技術で作られているため、細部に至るまで品質が高いです。

シリオの良いところと気になるところ

とにかく足にフィットする

 登山靴を選ぶときに好きなメーカーやデザインは気になりますが、でも一番大切なことは自分の足にフィットすること、長時間履き続けられることです。初めてのシリオは、テント泊縦走目的でハードトレッキング向けの登山靴でした。これで日本アルプスや八ヶ岳を、テント泊の荷物を背負っての縦走や、岩稜を含むバリエーションルートまで、10年ほど使いましたが、足のトラブルはありませんでした

壊れない

 1足目は3回ソールを張り替えて約10年使いました。靴を岩にぶつけながら荒っぽく岩場を登り下りしても紐のフックが壊れたこともなく、靴のトラブルは一回もありませんでした。とても丈夫な靴です。靴が丈夫であるということは、登山中に靴のトラブルに対するリスクを軽減できるということです。

さすがに、ソールを3回も張り替えると、ゴアテックスのメンブレンにダメージがあるようで、防水性が失われてきてしまったので買い換えました。

濡れた岩でも滑りにくい

 他のメーカーで履ける靴がほとんどなく、他メーカーの同レベルの靴と比較はできませんので、あくまでも主観的な意見となってしまいますが、濡れた岩などでも滑りにくいように感じます。もちろん、歩き方(荷重のかけ方やスタンス)によって変わってくると思います。ただ、低山用にキャラバン(グランドキング)のライトトレッキングの登山靴(GK-68)を使用しているのですが、その靴と比べても滑りにくいかなと感じます。

重い

 最初に買ったシリオはオールヌバックレザーのハードトレッキング向け。10年前のモデルです。片側900g以上ありました。当時、登山用品店の店員さんに「さすがに900g越えるのは重いよ!」と言ったら、「鍛えましょ!!」とあっさり返されたことを覚えています。鍛えてでも履くべきというお勧めの登山靴ということでした。

※現行モデルのP.F.630は片側約820gで、かなり軽くなっていました。

色が薄くなる

 購入時、“ヌバックカラー”という補色、汚れ防止用のスプレーが付属でついてきました。店員さん曰く、「靴の色が薄くなったら塗ってね!」といわれましたが、革はしっかりしているし、何万円もする靴なのでほとんど出番はないだろうと思っていました。

が、しかし、意外と早くから色が薄くなりました。ヌバックカラーをスプレーしたら色は戻りますが、結果的に65mlの小さなスプレー缶を2本買い足しました。使い込んでいけば色も気にならなくなりますが…。

シリオ登山靴
左が1足目のシリオ 右の青いほうが2足目

まとめ

 登山するうえで、登山靴はとても重要な道具の一つです。見た目や機能にとらわれず、自分の足に合うことを最優先に選ぶべきだと思っています。

 普段、足の長さのサイズを合わせても欧米メーカーのスニーカーはきつくて履くことができない。そんな幅広、甲高の典型的な日本人の足をしている方にシリオはお勧めです。気持ちよくフィットしてくれます。

 また、10年間、3回ソールを張り替えるほど使い込んでも、登山靴のトラブルはひとつもありませんでした。登山中の靴のトラブルは登山の継続が不可能になります。場所や時間帯によっては遭難につながる可能性さえあります。やはり、丈夫で信頼できるメーカーを選ぶに限ります。

 私はシリオの登山靴を選んで良かったと思っています。

内容には主観的な意見も含まれますので、購入の際は専門店に相談いただくことをお勧めします。

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