山小屋泊、テント泊は当然ながら、日帰りで暗い中を歩かないとしても、非常時のことを考えればヘッドランプはいつも持っているべき必須のアイテムです。「暗くなったらスマホのライトでいいのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、スマホのライトでは歩くための視界の明るさを十分確保できませんし、凸凹した慣れない山道で片手をふさいで歩くことは大変危険です。リスクを回避するためにもヘッドライトは準備しておくべき山の道具です。
しかし、必須ですが頻繁に使う道具ではないので、どれを選んでいいのか悩むアイテムのひとつでもあります。LEDが光源のメインになってきて、たくさんの種類が販売されていることも迷う原因のひとつです。
暗い登山道を歩くのであれば明るいほうが良いけれど、テント場や山小屋で明るすぎるライトはほかの人の迷惑になってしまう。電源は乾電池かそれとも充電式が良いのか、軽くてコンパクトなものがいいのだけれど、点灯時間が短いのも困る、値段もピンキリです。
私の場合は、いざというときのお守りではなく、テント泊でメインに、山小屋でも早朝発の日帰り登山でも使えるヘッドランプとして「milestone MS-G1」を購入しました。このヘッドランプを選んだ条件と使用感を紹介しますので、これからヘッドランプを購入する方の参考になればと思います。
ヘッドランプに必要な条件
自分の登山のスタイルが変わると、そのスタイルに合うヘッドランプが必要になるときがあります。今がちょうどそのときだったので新たにヘッドランプを購入することしました。主にテント泊で使用して、日の出前(暗いうち)から歩き始めることが前提になっています。
LEDで充電式
いまどきLED以外のランプを探すことのほうが難しいかもしれませんが、明るさを長時間保つために光源はLEDです。
スマホの予備電源としてモバイルバッテリーを持ち歩くため、ヘッドランプの予備電源と共用にしたい。そのためUSB充電のできる電源のタイプであることです。
明るさ(光束)は300lm(ルーメン)以上
今までの経験から、暗い登山道を歩くなら最大で300lm(ルーメン)ぐらいの明るさは欲しいと思っています。
でも、トイレに行くためテント場の中を歩く、テントを撤収する、テント内でものを探すなど、必要に応じた明るさの調整ができる機能は欲しい。
点灯時間は2時間以上
ヘッドランプの使用時間を考えてみました。10月の日の出の時間は午前6時ごろ。
朝5時から歩き始めるとすると、テント撤収で1時間、暗い中を歩く時間が1時間として合計2時間。
点灯時間は2時間以上必要ですね。
軽量・コンパクト
頭部に着けて使用することが多いので、なるべくコンパクトで軽いと負担が少ない。
バッテリー別体だと、明るくて長時間使えますが、その分大きくて重くなるので、登山には不向きかと個人的には思っています。
本体が脱着できる(頭以外の場所に取り付けできる)
ご来光を見る場合などは、既に多くの人が暗い中を行動しています。ヘッドランプを頭部に着けていると、すれ違ったり、休憩中を追い越したりするとき、どうしてもその人の顔を照らしてしまうことがあります。
LEDはとてもまぶしいですよね。こんな時、ザックのチェストベルトなどに取り付けができるようになっていると気を使わなくて済みます。
シンプルな機能
基本は歩くときに照らすことなので、操作が複雑で使わないような機能はいらない。
以上の条件を基にして、各メーカーの該当する機種を一覧表にしていました。
メーカー | 型式 | 価格(税込み) | 光束(lm) | 点灯時間(h) | 重量(g) | 使用電池 | 本体脱着 | 保護等級 | その他の機能 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッドレンサー | MH5 | ¥6,050 | ハイ:400 ロー:20 | ハイ:4 ロー:35 | 94 | 充電池/単3アルカリ電池×1本 | 〇 | IP54 | 赤色灯 フォーカス可変 |
マイルストーン | MS-G1 | ¥3,800 | MAX:300 MIN:15 無段階可変 | 最大:2 最小:18 | 28 | 充電池 | 〇 | IPX4 | |
ブラックダイヤモンド | リボルト | ¥7,920 | MAX :350 MID:180 LOW:6 | MAX :3 MID:7 LOW:120 | 90 | 充電池/単4アルカリ電池×3本 | × | IPX4 | 赤色灯 デミング(増/減光) ストロボ |
ペツル | ティカ | ¥4,180 | MAX :300 MID:100 LOW:6 | MAX :2 MID:9 LOW:120 | 82 | 充電池(別売)/単4アルカリ電池×3本 | × | IPX4 | 赤色灯 |
ペツル | アクティックコア | ¥8,360 | MAX :450 MID:100 LOW:6 | MAX :2 MID:8 LOW:130 | 75 | 充電池/単4アルカリ電池×3本 | × | IPX4 | 赤色灯 2つのビームパターン |
モンベル | ヘッドランプ330 | ¥6,380 | MAX:330 MIN:100 | MAX:3.5 MIN:40 | 69 | 充電池 | × | IPX4 | 赤色灯 2つのビームパターン 充電池別体 |
モンベル | リチャーチャブル パワーヘッドライト | ¥4,290 | MAX:200 MIN:35 | MAX:15 MIN:36 | 80 | 充電池 | × | IPX6 | 電球色LED |
この中から、一番条件に合ったヘッドランプが「milestone MS-G1」でした。
milestone MS-G1 レビュー
パッケージと外観

紙が主体のパッケージで、他のメーカーとは雰囲気が違います。

梱包の中身は、本体、ヘッドベルト、クリップ、取扱説明書兼保証書、USB-micro-Bケーブル。

外観はコンパクトで非常にシンプルな作りです。とても好感が持てます。そして何よりも持った瞬間に「軽ッ?!」と思いました。カタログスペックで軽いことはわかっていましたが、実際に手に取ってみてこれほど軽いとは思わなかった。うれしい誤算です。
本体上部にスイッチは一つ、といっても全部でスイッチは一つしかありません。下部に充電用のUSBポートが一つあるだけです。

実際の重量を測ってみました。ヘッドベルト付きで46g、本体のみなら28gで、仕様通りです。

ヘッドベルトは簡単に本体から取り外せます。四角い穴にクリップを取り付けます。
クリップを取り付けても角度は調整可能、ザックのチェストベルトにつけてみました。狭いベルト幅には対応してないので、チェストベルトに着けるとグラつきます。これは予想外でした。実際に使用してみて取り付け方や位置を検討しようと思います。
点灯時間と充電時間
満充電してからの点灯時間と充電時間を測ってみました。
最大の明るさで連続点灯させると、点灯時間は2時間57分でした。
仕様では約2時間となっていますので、新品の状態でカタログ値以上の結果です。
次に、連続点灯して電池切れで消えた状態から充電してみました。実際の使用ではモバイルバッテリーで充電することになるので、テストでもモバイルバッテリーを使用しました。
満充電になるまでの時間は3時間3分でした。
説明書では充電時間が約3時間となっていて、カタログ通りの時間でした。

歴代の使用したヘッドランプとの比較
今まで使ってきたヘッドランプとMS-G1の大きさを比較してみました。

上がMS-G1、真ん中が5年前に購入したペツルのティキナ、下が10年以上前に購入したブラックダイヤモンドのスポットです。5~6年ごとに買い換えてきていますが、買い換えるたびに小さく、軽くなってきています。

MS-G1とティキナの照射具合を比較してみました。MS-G1の光は自然光に近い光で見やすく、広く照らします。ティキナはLED独特の白い光で、光の当たっている部分はMS-G1より明るく照らしていますが、照らす幅が狭いため全体的な判断は付けにくそうです。
3m先の障害物を照らしてみました。やはりMS-G1のほうが広く照らしますので、何があるのかわかりやすい印象です。
この比較はあくまでも真っ暗の中で行ったもので、日の出前の薄暗い中だと印象が変わってくるかもしれません。
また、画像と実際の見え方は変わってしまいますので、あくまでも参考としてください。
実際に使ってみて
日帰りの登山で、日の出前の真っ暗な状態から日が昇り始めて明るくなってくるまでの1時間ほど使った時の感想です。
良いところ
- とにかく軽いです。ベルトを含めても46g(本体だけなら28g)しかありませんので、つけていることを忘れそうです。
- 光の色はナチュラルウォームカラーとなっていて自然に近い色です。白色LEDの光源に比べると明るさは控えめかもしれませんが、自然光で照らされた景色は見やすく、何があるのか判断しやすく感じました。光を照らす範囲も固定なのですが、広すぎず、狭すぎず調度いいです。
- 明るさの調整はスイッチの長押しで簡単に変更できるため、操作が簡単で間違って操作することはなさそうです。

実際の登山道を最大の明るさで照らしてみました。
気になったところ
- 明るさは無段階で調整できるものの、実際に使うのは最大、最小、中間2ヵ所ぐらいです。ボタンの長押しで簡単に調整できるのは良いところなのですが、最大から最小まで切り替わる時間が2秒ぐらいと短いので、ちょうどいいと思った明るさで止めるには慣れが必要です。もう少しゆっくり切り替わってくれると使いやすいと感じました。
- 購入時にわかっていて妥協した点なのですが、電源は充電池1種類だけで、乾電池などのほかの電源は使えないことです。使用中に電池を使い切ったら充電できるまで待たなければなりません。コンパクトな本体にするために機能を絞る必要があったのかもしれませんが、明るさの制限があってもいいので、せめて充電中でも点灯するようにしてほしかったです。
まとめ
軽さ、光の色、照射範囲による見やすさにはとても満足しました。操作も単純で使いやすいです。明るさの調整について気になるところで挙げましたが、細かく明るさを調整して使用することはないので、操作に慣れてしまえば許容範囲です。
他の電源が使えない点も、電池残量を3段階と細かく表示してくれるので、長時間使うことになったら電池残量をこまめに確認しつつ明るさを調整して対応していくことで十分使えます。
milestone MS-G1は、短い時間でしたが、使ってみて満足のいくヘッドランプです。
今回は時間がなくてチェックできませんでしたが、薄暗いモヤの中で使用したときや、頭部以外に取り付けた時の使い勝手を試してみたいと思っています。
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