海外メーカーを含めると、登山用のテントにはたくさんの種類があって、初めてテントを購入しようとしても、どんなテントを買っていいのか迷ってしまいます。
安い装備ではないし、購入したら長く使うことになるので失敗はできませんよね。
登山用のテント選びに必要なことは、それぞれのテントの特徴を知り、自分が必要とする機能や性能にあったテントを選ぶことです。
この記事では、登山用テントの種類や特徴を紹介して、テント選びのポイントを説明していきます。
登山用テントとキャンプ用テントの違い
登山では山岳用のテントを使いましょう。
山岳用テントは悪天候にも対応できるよう丈夫で、ザックに入れて持ち運べるよう軽量コンパクトに作られています。
それに比べて一般的なキャンプ用のテントは、居住性を良くするように作られていることが多いので、テント内では快適に過ごせますが、テント自体は重く大きいものが多いで登山には適しません。
丈夫で耐久性の優れた素材を使っているので高価なのですが、登山には山岳用テントが必要になります。
山岳用テントの種類
山岳用のテントには大きく4つの種類に分けることができます。
自立式と非自立式
自立式とは、ポールとテント本体を組み立てると、テントが張られた状態になります。

それに対して非自立式は、数か所を張り綱(ガイライン)で引張り支えることでテントが張れます。

初めてのテントだったり、まだテントの設営経験が浅いのであれば、自立式がおすすめ。
比較的設営が簡単、慣れればテント初心者でも短時間で設営できるので、雨の日などは荷物を早めにテント内にしまうことができます。
非自立式の利点は軽いこと、コンパクトに収納できることですが、設営には慣れが必要なので、どちらかといえば上級者向きになります。
天気が悪いときは設営に時間をかけたくないので、設営も楽で居住空間も確保できる自立式をおすすめします。
ダブルウォールテントとシングルウォールテント
ダブルウォールテントとは、テント本体とその上に被せる外張りと呼ばれるフライシートから構成されています。レインフライは防水性がありますが、テント本体に防水性はありません。

シングルウォールテントとは、テント本体で防水性と通気性を備えた素材(例えばゴアテックス)が使われているので外張りはありません。

ダブルウォールテントの特徴は、外張りがあることによって前室ができることです。この前室はとても便利で、靴を外に出しておいても雨や夜露が避けられるし、雨でも前室で調理することも可能(換気や火の取り扱いに注意が必要)です。

また、テント本体とフライシートとの間に空気の層ができるので、テント内の結露が少ないのもメリットのひとつです。
シングルウォールテントの特徴は、ダブルウォールテントに比べ軽くできることですが、最近はシングルウォールテントに負けないぐらいの軽量なダブルウォールテントもあります。
フライシートを張る必要が無いので設営の時間を短くできます。テント本体に防水性があるため、雨の日などはテントを広げて荷物を入れてからテントを張ることも可能(もちろん慣れは必要)。
シングルウォールテントのデメリットは前室がないことと、結露しやすいことです。外気とテント内の間は布一枚で空気の層が無いため結露しやすくなります。
設営の時間を短くできるシングルウォールテントは魅力ですが、設営は練習して慣れればある程度は短くなるもの。前室のある利便性や結露の少なさなどからダブルウォールテントがおすすめです。
登山用テントを選ぶポイント
おすすめの自立型ダブルウォールテントですが、各メーカーのテントにそれほど大きな差はありません。自分にとって譲れない機能や居住性、使い勝手の良さで、重量や価格との妥協点を見つけて選んでみてはどうでしょうか。
今シーズンにソロ用のテントを買い足そうと思っているので、私のテントを選ぶポイントを挙げてみました。
いつ使うか?
メジャーで、種類も多いのが3シーズン(春夏秋)用です。厳冬期にテント泊をしない予定なら3シーズン用でOK。厳冬期にもテント泊をする予定でしたら、スノーフライがオプションで用意されている3シーズン用のテントか、新たに厳冬期用のテントを用意する必要があります。
出入口の数と場所
よく話題になる出入り口ですが、個人的に出入り口は長辺側にあるものを選びます。
理由は、出入り口周辺が広いので出入りしやすい、前室が長辺側にできるので広くなることです。
デメリットは、二人以上で利用するときに出入り口の反対で寝ている人は、もう一人を跨いでいかないと外に出られないこと。でも、ソロなのでここは問題なし。
最近は出入口が2つあるテントも増えてきました。前室が2カ所にできることは便利ですが、さすがにテントを張るスペースが広くなるので、出入り口は1つあれば十分です。
テント室内の広さは?
自分の身長は180cmなので、なるべくテント室内の広いものがいいと考えています。
目安の寸法は、高さ105cm × 幅210cm × 奥行90cm ぐらいでしょうか。
(出入口の位置によって幅、奥行きの呼び方が変わることに注意)
ヘッドスペースにゆとりのあるタイプなら、もう少し高さが低いテントも候補に入れます。
ただし、テント室内の広さについては、カタログ上の数字だけではわかりづらいので、いくつか候補を決めたらショップなどで実物を確認してみるといいです。
吊り下げ式とスリーブ式か
吊り下げ式は、先にポールをセットして、ポールにテント本体をフックでぶら下げるように設営する方式です。

出典:NEMO EQUIPMENT
スリーブ式は、テント本体にスリーブが付いていて、ポールを通して設営する方式。

出典:oxtos
吊り下げ式の方が設営は簡単です。特に風の強いときはテント本体を先にペグダウンしてしまえば、スリーブ式より設営がしやすくなります。
吊り下げ式の欠点は、ポールとテント本体がフックを通じて点でしか接していないので、スリーブ式のように面で接しているよりも強度的に不利です。
素材の種類と厚さ
長く使うなら素材も重要なポイントです。ポリエステルよりナイロン素材の方が軽くて丈夫です。
レインフライは風雨にさらされるし、テント本体のボトム部分は石などでゴツゴツした地面の影響を受けるので、フライシートとテント本体のボトムは丈夫な素材で20デニール以上を目安にします。
テント本体にメッシュ部分の面積が多いタイプも避けます。真夏しか使わないならいいかもしれませんが、春秋の稜線上では寒そうです。
選ぶときの注意点
テントを選ぶには、カタログ上には現れてこない注意すべきこともあります。
二人用も良し悪し
ソロのテント泊登山でも二人用のテントを勧める人もいます。テント内が広いと快適ですし、荷物の整理が下手な人や、荷物が多い人でも安心です。
しかし、 一人用に比べれば重いし、外気温が低くなる季節では室内が広ければ寒いです。
また、最近のテント泊登山者が増えてきているので、人気のテント場はとても混み合います。シーズンや到着時刻によっても変わりますが、混み合ったテント場で二人用のテントスペースを探すのは容易ではありません。
安易に軽いものを選ばない
テント泊は荷物が多くて重くなるので少しでも軽くしたいところだが、軽いテントだと素材の強度が足りないものもあります。
特に海外メーカーの軽量テントだと、稜線上の爆風を想定していないものもあります。「軽い」とか、「デザインが良い」からといって安易に選ばないことです。
パーツの供給は?
テントは煩雑に買い換えるものではなく、ほとんどの人は長く使います。長い間使えば、パーツが壊れてしまったり、修理が必要な部分も出てきます。
そのような時でも、パーツを供給してくれたり修理してくれたりするメーカーを選んでけば安心です。
アフターサービスについては、メーカーや登山用品店に聞いてみるといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
登山のスタイルによって、テントに求める機能はひとぞれぞれです。希望通りのテントがあるならいいのですが、そんなテントはなかなか見つからないので、妥協できるポイントも決めとくといいかもしれません。
自分のスタイルに合ったテントを選ぶために、テントの種類や特徴、メリットやデメリットを調べてから選ぶといいですね。
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