八ヶ岳にも最適 冬の装備に欠かせなくなったチェーンスパイク

チェーンスパイクを履いた登山靴 山道具

最近ではいろいろな種類を見るようになったチェーンスパイク、使い始めて3シーズン目を迎えました。

最初はなんとも「おもちゃチック」な感じ(あくまでも個人的感想です)がしていたのでチェーンスパイクは使わず、圧雪路や凍結路は軽アイゼンを使っていました。でも、ちょっとした段差でつま先に引っかかりが欲しかったり、爪が長くて引っかけてしまったり、ずっと歩きにくさを我慢して使っていたのですが…

たまたま行った登山用品店で展示されていたチェーンスパイク。思っていたより作りがしっかりしていて使えそうと思い、いろいろ調べて購入しました。

使ってみるとこれが意外と調子よくて、今では冬の登山に欠かせない装備となっています。

チェーンスパイクとは

踏み固められた雪や凍った地面の登山道。標高が低いうちではよく出てくる登山道の状態です。傾斜が緩ければ歩くこともできますが、スリップに気を付けながら歩くのは意外と気を使い歩きにくいものです。

こんな時に使うのがチェーンスパイク。名前の通り、チェーンと短めの爪(スパイク)、これをゴムのバンドで登山靴に固定するシンプルな構造の滑り止めのことをいいます。

サレワ MTN Spike
チェーンスパイク

軽アイゼンとの違いは?

価格や重さ、それに大きさも似ていることから、よく比較されるのが6本爪の軽アイゼンです。

でも、実際にはこの両者は使用する場所が違います。アイゼンは傾斜があって踏ん張って登るような場所に使い、少しぐらい積雪があっても爪が長いので対応できます。

それに対してチェーンスパイクは踏み固めたれた雪や凍結している傾斜の緩いところで使います。靴底全体に短い爪が配置されているので、登山靴と同じような感覚で歩くことができ、爪も引っかけにくいのが特徴です。

しかし、チェーンスパイクはゴムの伸縮力だけで靴に固定されているため、靴との剛性が弱く踏ん張って登るような傾斜には不向きです。それに爪も短いので深い雪には効きにくくなります。低山であっても雪が深い場合はアイゼンの方が効果的です。

実際の登山道では、はっきりと状況が区別できるわけではなくオーバーラップしていることも多いのですが、本来ならば使い分けが必要なのです。

軽アイゼンと比較  左:軽アイゼン 右:チェーンスパイク

チェーンスパイクのメリットとデメリット

チェーンスパイクのメリットとデメリットを軽アイゼン(6本爪)と並べて比較してみました。

メリットデメリット
チェーンスパイク靴の裏全体に爪があるため、つま先に引っかかりが欲しいときに便利

爪が短いため歩きやすい
ゴムの伸縮力で固定しているため剛性が弱く、傾斜があるとズレやすい

爪が短いので深い雪には対応できない
スノープレートがないので靴裏に雪が付きやすい
6本爪軽アイゼン靴にベルトでしっかりと固定できる

深い雪にも対応可能

固く凍った地面でも爪を食い込ませやすい
土踏まずのあたりにしか爪がないので、つま先やかかと部分が不安定

つま先に爪がないので、傾斜があると歩き方に工夫が必要

爪が長いので引っかけやすい

おすすめのチェーンスパイク5選

サレワ MTN Spike

現在使っているチェーンスパイク。登山靴に固定するためのゴム(エラストマー)が厚く丈夫なため、石などに擦ってしまっても破損する可能性が低い。ベルクロのバンドで内側と外側のゴムを固定して剛性を上げ、デメリットであるズレを少しでも抑えるようになっている。

  • 〔材質〕 ステンレススチール/エラストマー
  • 〔サイズ〕S(22.5~24.5cm) M(24.5~26.5cm) L(26.5~28.5cm) XL(28.5~30.5cm)
  • 〔重さ〕 S(374g) M(399g) L(422g) XL(463g)
  • 〔その他〕 18本爪 収納ケース

サレワ(サレワ) MTN SPIKE CRAMPON 829 (ブラック/S/Men’s、Lady’s)

ヒルサウンド トレイルクランポン

他のメーカーに比べると爪は長くて鋭くアイゼンに近い形状の爪をしている。前側のプレートは可動式になっていて、常に靴のソールに爪が付いてくる仕組みになっている。トレランシューズのようなソールの柔らかい靴にも対応できそう。

  • 〔材質〕 カーボンスチール/エラストマー
  • 〔サイズ〕XS(22.0~24.0cm) S(24.0~26.0cm) M(26.0~28.0cm) L(28.0~30.0cm)
  • 〔重さ〕 S(460g) M(480g)
  • 〔その他〕 11本爪 収納ケース

スノーライン チェーンセンプロ

コストパフォーマンが高くベーシックな製品のひとつ。爪の数は11本と少ないものの、その分重量は軽い。チェーンを通すゴムの穴はプラスチック製のアイレットで補強されていて耐久性を上げている。また、ベルクロのバンドも付いていてズレの防止と剛性感をアップ。

  • 〔材質〕 ステンレススチール/シンセティックラバー
  • 〔サイズ〕S(20.5~23.0cm) M(22.5~25.0cm) L(25.0~27.5cm) XL(27.0~30.0cm)
  • 〔重さ〕 S(280g) M(330g) L(360g) XL(410g)
  • 〔その他〕 11本爪 収納ケース

CAMP アイスマスター

ヒルサウンドのトレイルクランポンと同じような構造になっていて、前側のプレートが可動式になっている。他のチェーンスパイクに比べると軽アイゼンに近い形状の爪になっていて、重量は増えるけど他メーカーのチェーンスパイクより少し行動範囲を広くできる。ベルクロのバンドも付属。

  • 〔材質〕 ステンレススチール/シンセティックラバー
  • 〔サイズ〕S(23.0~24.0cm) M(24.5~25.5cm) L(26.0~27.0cm) XL(27.5~28.5cm)
  • 〔重さ〕 S(455g) M(478g) L(495g) XL(500g)
  • 〔その他〕 12本爪

モンベル チェーンスパイク

ベーシックな形状のチェーンスパイク。爪の数は10本で、かかと側に少ないのが気になるが、コストパフォーマンスの高い製品

  • 〔材質〕 ステンレス/エラストマー
  • 〔サイズ〕S(20.5~23.5cm) M(23.0~26.0cm) L(25.5~28.5cm) XL(28.0~31.0cm)
  • 〔重さ〕 S(280g) M(325g) L(360g) XL(405g)
  • 〔その他〕 10本爪 収納ケース


こんな感じで使っています

チェーンスパイクは手軽で便利な装備です!といってもどんなシチュエーションで使ったらいいのか悩むところでもあります

チェーンスパイクと軽アイゼンは登山道の状況によって使い分けることを基本としていて、登る山の状況を判断して装備を決めています。どういった組み合わせで持っていくか、私の使い方を紹介します。「それ違うだろ!」と思う方もいるかもしれませんが、あくまでも私個人の方法ですので参考程度に見てみてください。

チェーンスパイクのみ

傾斜が緩く積雪の少ない低山や里山をトレーニングがてら登るようなときはチェースパイクしか持っていきません。

よくあるのが、シーズン初めで樹林帯の一部だけに溶けた雪が凍結して残っている場合もチェーンスパイクだけです。

夏シーズンで残雪を通ることが予想される場合は軽アイゼンを持っていくので、チェーンスパイクだけを持っていく山行はとても少ないです。

12本爪アイゼン + チェーンスパイク

本格的に冬山を登ろうとするときはこの組み合わせです。

例えば八ヶ岳の赤岳に登るとき、北沢ルートの凍った林道はでチェーンスパイクを使います(南沢ルートでも使ってます)。軽アイゼンはとても歩きにくいですから。

赤岳鉱泉か行者小屋で12本爪のアイゼンに付け替えます

天狗岳の唐沢鉱泉と黒百合ヒュッテ間も凍った石の上を歩くことが多いのでチェーンスパイクを使っていますね。

軽アイゼン(6本爪) + チェーンスパイク

積雪は少ないが登山道の状況がわからないときは軽アイゼンとチェーンスパイクを持っていきます。アプローチはチェーンスパイクで、傾斜がきつくなってきたらアイゼンに付け替えるといった感じです。

ただし、つま先に引っかかりが欲しいようなときはチェーンスパイクで登っていくこともあり、状況をみて使い分けるようにしています。


まとめ

登山口までの凍った林道や、傾斜は多少あるけどゴツゴツとした石の表面が凍っているような道ではチェーンアイゼンが便利です。

爪が短かいので不用意に爪を引っかけてしまうことが少なく、靴底全体に爪が配置されているため歩きやすいからです。チェーンスパイクを使うようになってからは、軽アイゼンの出番が随分と減りました。それだけチェーンスパイクは使いやすいアイテムです。

この記事では5種類のチェーンアイゼンを紹介しました。これからチェーンスパイクを使ってみようと思うなら、自分のスタイルに合ったものを探して試してみることをおすすめします。

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